「LLMO をやるなら、構造化データを入れたほうがいい」。そう言われても、何のことか分からない、という社長は多いと思います。
構造化データは、ひとことで言えば、ホームページの裏側に書く「検索エンジンや AI 向けの記入用紙」です。この記事では、何のためのものか、入れれば AI に紹介されるのか、自社のサイトに入っているかの確かめ方までを、専門用語をできるだけ使わずに説明します。
構造化データは、機械向けの「記入用紙」
たとえば、会社概要のページに「江戸川区北小岩で、Web サイトの制作をしています。お電話は…」と書いてあるとします。人が読めば、どれが住所で、どれが電話番号かはすぐに分かります。
ところが、検索エンジンや AI にとって、文章はそこまで読みやすいものではありません。「北小岩」は地名なのか、会社の名前の一部なのか。この電話番号は代表の番号なのか、別の店舗の番号なのか。文章から推し量るしかないからです。
そこで、ページの裏側に、役所の申込書のような「欄」を用意して、「社名」の欄には社名、「住所」の欄には住所、「電話番号」の欄には電話番号、とはっきり書いておきます。これが構造化データです。お客さんが見る画面には表示されず、検索エンジンや AI だけが読みます。
Google は構造化データを「ページに関する情報をさまざまなサイトで活用できるように標準化したデータ形式」と説明し、これを使って「ページのコンテンツを把握する」としています(Google 検索セントラル「構造化データの仕組みについて」)。欄の名前や書き方は、Google や Microsoft などが共同で作った schema.org という共通のルールで決まっています。
入れれば、AI に紹介されるのか
先に結論を書くと、構造化データを入れただけで、AI に紹介されるようになるわけではありません。
Google は、AI による概要(検索結果の上に出る AI の答え)に表示されるために「特別な schema.org の構造化データを追加する必要」はない、とはっきり書いています。そのうえで、SEO の基本として「構造化データをページに表示されるテキストと一致させます」と挙げています(Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」)。
一方、Microsoft の Bing の担当者は、2025年3月にドイツで開かれた講演で、構造化データは Copilot などの AI が内容を理解する助けになると述べた、と報じられています(Search Engine Roundtable の記事)。
まとめると、構造化データは「入れれば紹介される近道」ではなく、「会社の情報を、取り違えなく伝えるための土台」です。社名・住所・サービスの内容を、AI が間違えずに受け取れるようにしておく。その意味で、LLMO の準備の一つに数えられています。何を書くか、つまり中身のほうが大事なのは、AI に引用される会社と、されない会社の差で書いたとおりです。
よく使われる記入用紙の種類
記入用紙には、書く内容に合わせていくつも種類があります。中小の会社のサイトでよく使うのは、次のようなものです。
| 種類(schema.org での名前) | 書く内容/入れるページ |
| 会社の情報(Organization) | 社名・ロゴ・住所・電話番号・SNS など/トップページ、または全ページ |
| お店・事務所の情報(LocalBusiness) | 住所・営業時間・定休日など/お店や事務所のページ |
| 記事(Article) | タイトル・書いた人・公開日・更新日/ブログやお知らせの記事 |
| サービス(Service) | サービスの名前・内容・対応地域/サービス紹介のページ |
| よくある質問(FAQPage) | 質問と答えの組み合わせ/よくある質問を載せたページ |
| パンくずリスト(BreadcrumbList) | そのページがサイトのどこにあるか/全ページ |
なお、よくある質問の構造化データは、以前は Google の検索結果に質問と答えが折りたたまれて表示されていましたが、この表示は2026年5月7日で終わりました(Google 検索セントラルの更新履歴)。ページの中の質問と答えを機械に分かる形で示す意味はあるため、このサイトでは書き続けています。
気をつけたい3つのこと
1. 画面に書いていないことは、書かない
Google のルールでは、お客さんが見る画面に表示されていない情報は、「その情報が正確であっても」構造化データに書かないように、とされています(Google 検索セントラル「構造化データの仕組みについて」)。住所を構造化データに書くなら、会社概要ページなどにも住所を載せておく必要があります。
2. 会社の情報を変えたら、両方を直す
いちばん多いのは、悪気のない食い違いです。電話番号や営業時間を変えたとき、画面の文字は直しても、裏側の構造化データは古いまま、ということがよく起こります。裏側は普段目に入らないので、気づかれないまま何年も残ります。AI が古いほうの情報を拾えば、お客さんに間違った営業時間が伝わります。
3. 盛らない
自分で作った星5の評価を書き込む、扱っていないサービスを書く、といった、実際と違う内容は、Google のルール違反です。ひどい場合は「手動による対策」という、検索結果での扱いを下げる措置を受けることがあります(Google 検索セントラル「構造化データに関する一般的なガイドライン」)。
自社のサイトに入っているか、確かめる方法
いちばん手軽なのは、schema.org が用意している無料の確認ツール「Schema Markup Validator」です。
- ツールを開き、「URL を取得」の欄に自社のトップページのアドレスを入れて、「テストを実行」を押す
- 右側に、見つかった記入用紙の種類(Organization など)が並ぶ。何も出なければ、構造化データは入っていない
- 種類の名前を押すと中身が開く。社名・住所・電話番号が、今の正しい情報になっているかを見る
ブログの記事やサービスのページでも、同じように確かめられます。英語の画面ですが、見るのは「何が並んでいるか」と「中身が今の情報と同じか」の2点だけです。
このサイトで入れているもの
参考までに、このサイト(coipo.net)では、全ページに会社・代表者・サイトの情報を、ブログの記事には記事・パンくずリスト・よくある質問を、LLMO 支援のページにはサービスの情報を入れています。
実は、つい先日まで、会社の情報に住所と電話番号が入っていませんでした。サイトの中に住所を載せたページがなかったため、「画面に書いていないことは書かない」のルールどおり、書けなかったのです。そこで会社概要のページを作って住所と電話番号を載せ、同じ内容を構造化データにも入れました。構造化データは、ページの中身とセットで整えるものだということが、よく分かる例だと思います。
自分でやるか、任せるか
WordPress などでは、SEO のプラグインを入れると、基本的な構造化データが自動で入ることがあります。ただ、自動で入るのは最低限の内容で、業種や対応地域、サービスの中身まで正しく書くには、設定や手作業が必要です。テーマ(デザインのひな形)を変えたときに、知らないうちに消えてしまうこともあります。
おすすめは、確かめるところまでは自分で、直すのは制作会社に任せる、という分け方です。上の確認ツールで「何も出ない」「住所が古い」と分かれば、それだけで制作会社に頼むことがはっきりします。
自社が今 AI にどう紹介されているかは、5分で確かめる方法で調べられます。地域で商売する会社は、構造化データより先にGoogle ビジネスプロフィールと口コミを整えるほうが効果を感じやすいはずです。LLMO の全体像はシリーズの1本目の記事で紹介しています。
自社の状況を無料で診断します
「うちのサイトに構造化データが入っているか分からない」「入っているけれど、中身が正しいか確かめたい」という方のために、ESTUDIO COIPO では LLMO の無料診断を行っています。主な AI で、お客さんがしそうな質問をしたときに御社がどう紹介されるかを確かめ、構造化データや会社情報の書き方を含むサイトの状態とあわせて、優先して直すことをお伝えします。
くわしくはLLMO 支援のページをご覧ください。
著者プロフィール
齊藤新(さいとう・あらた)/ESTUDIO COIPO 代表
Web 業界で 25 年以上、企画・ディレクション・デザイン・SEO・MA ツールの導入支援・ブランド戦略までを一貫して手がける。AI を活用した SEO の仕組みづくりや、業務の効率化にも取り組んでいる。