「この近くで、評判のいい歯医者は?」「土曜もやっている整体を教えて」。こうした質問を、検索の代わりに AI にする人が増えています。
地域で商売する会社にとって、AI の答えの土台になるのは、自社のサイトだけではありません。Google ビジネスプロフィール(Google マップに出る会社の情報)と、そこに集まる口コミです。この記事では、Google が公表している基準をもとに、まず整えたいことと、口コミのお願いでやってはいけないことをまとめました。
「近くの〇〇」を AI に聞く人が増えている
アメリカの調査会社 BrightLocal が毎年行っている調査では、地元のお店や会社を探すときに ChatGPT などの AI を使う人が、1年で 6% から 45% に増えました(BrightLocal「Local Consumer Review Survey 2026」、米国の成人1,002人)。
Google も2026年3月、Google マップに AI と会話しながら場所を探せる「Ask Maps」を加えました。答えのもとになるのは、3億か所以上の場所の情報と、5億人以上が投稿した口コミだと説明しています(Google 公式ブログ)。いまはアメリカとインドから始まったところで、日本ではまだ使えません。
どちらも海外の話ですが、向かっている方向ははっきりしています。地域の会社を AI がお客さんに紹介するとき、材料になるのは、Google マップに載っている会社の情報と、お客さんの口コミです。
Google が公表している、地域の検索で表示される3つの基準
Google は、地域の検索結果(Google マップや、検索結果の地図の欄)にどの会社を表示するかについて、3つの基準を公表しています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」)。
- 関連性:検索された言葉と、会社の情報がどれだけ合っているか
- 距離:探している人から、会社までの距離
- 知名度:その会社がどれだけ広く知られているか
同じヘルプには、「クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ローカル検索結果のランキングが高くなります」とも書かれています。また、会社の情報が正確でないと、関係のある言葉で検索されても表示されない場合がある、と注意しています。
距離は変えられませんが、関連性と知名度は、会社の情報と口コミで変えられます。
まず整えたい、ビジネスプロフィールの基本情報
名前・住所・電話番号を、サイトと一字一句そろえる
AI は、サイト、Google マップ、ポータルサイトなど、あちこちの情報を見比べています。社名や住所の書き方が場所によって違うと、同じ会社だと分かりにくくなります。実はこのサイトでも、社名の書き方が4通りに分かれていたため、そろえ直しました(AI に引用される会社と、されない会社の差で紹介した「サイトの外でも名前が語られている」とも関わる点です)。
カテゴリーと、サービスの説明
メインのカテゴリーは、お客さんが探すときの言葉にいちばん近いものを選びます。そのうえで、扱っているサービスや商品を、料金の目安や対応地域と一緒に説明文に書きます。ここに書いてあることが、「関連性」の材料になります。
営業時間・定休日・写真
「土曜もやっているか」「今日は開いているか」は、AI によく聞かれる質問です。祝日や年末年始の営業時間も、変わるたびに直します。写真は、外観・店内・仕事の様子など、初めての人が雰囲気をつかめるものを選びます。
口コミは「数」と「新しさ」と「返信」
先ほどの BrightLocal の調査では、地元のお店や会社について口コミを読む人は 97%、3か月以内の新しい口コミを探す人は 74%、会社が口コミに返信するのを期待する人は 89% でした(BrightLocal「Local Consumer Review Survey 2026」)。アメリカの調査ですが、口コミを読むときの気持ちは日本でもそう変わらないはずです。
Google も、口コミに返信することで「そのフィードバックを重視していることをアピールできます」と案内しています。良い口コミにはお礼を、厳しい口コミには事実を確かめたうえで、言い訳をせず、どう直すかを書きます。返信は、これから選ぶ人も読んでいます。
もう一つ大切なのが、口コミの中身です。「丁寧でした」だけの口コミより、「雨漏りの修理を相談したら、写真で原因を説明してくれた」のような具体的な口コミのほうが、どんな仕事をしている会社なのかが伝わります。AI が口コミをまとめるときも、材料が具体的なほど、伝わる中身も具体的になります。
口コミのお願いで、やってはいけないこと
口コミを増やしたいときは、お客さんにお願いするのがいちばんの近道です。ただし、お願いの仕方にはルールがあります。Google のポリシーでは、次のことが禁止されています(マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」)。
- 割引・無料サービス・お金などの特典と引き換えに、口コミを書いてもらう
- 満足していそうなお客さんにだけ頼み、不満がありそうな人には頼まない
- スタッフに「毎月〇件」のように口コミ集めのノルマを課す
- その場で評価を書いてもらったり、書く内容を指定したりする
- 従業員や取引先など、利害関係のある人が口コミを書く
日本の法律にも関わります。2023年10月から、広告であることを隠した宣伝(ステルスマーケティング)は景品表示法の違反になりました。消費者庁の Q&A では、口コミの投稿を頼むこと自体は通常問題にならない一方、「星5をつけること」や、決まった感想を書くことを条件にすると、会社の広告として扱われるとしています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)。
まとめると、「特典なしで、すべてのお客さんに、自由に書いてもらう」形なら、どちらのルールにも沿います。
今日からできる3つのこと
1. ビジネスプロフィールを開き、サイトと見比べる
まだ登録していなければ、まず登録します。登録済みなら、名前・住所・電話番号・営業時間・サイトの URL が、自社サイトと同じかを確かめます。違っていたら、どちらかに合わせて直します。
2. ここ半年の口コミに、すべて返信する
良い口コミにも、厳しい口コミにも返信します。短くてかまいません。お客さんの書いた具体的な内容に触れると、定型文に見えません。
3. 口コミのお願いを、決まった形にする
仕事が終わったときや、会計のときに、すべてのお客さんに同じ形でお願いします。口コミの投稿画面につながる QR コードを、領収書や名刺、お礼のメールに入れておくと、頼み忘れがなくなります。特典は付けず、書く内容も指定しません。
自社が今 AI にどう紹介されているかは、5分で確かめる方法で調べられます。ビジネスプロフィールを整える前と後で確かめると、変化が分かります。サイト側の準備はSEO と LLMO の違いで、LLMO の全体像はシリーズの1本目の記事で紹介しています。
自社の状況を無料で診断します
「ビジネスプロフィールの情報が正しいか分からない」「口コミがどう見られているか確かめたい」という方のために、ESTUDIO COIPO では LLMO の無料診断を行っています。主な AI で、お客さんがしそうな質問をしたときに御社がどう紹介されるかを確かめ、サイトとビジネスプロフィール・口コミの状態とあわせて、優先して直すことをお伝えします。
くわしくはLLMO 支援のページをご覧ください。
著者プロフィール
齊藤新(さいとう・あらた)/ESTUDIO COIPO 代表
Web 業界で 25 年以上、企画・ディレクション・デザイン・SEO・MA ツールの導入支援・ブランド戦略までを一貫して手がける。AI を活用した SEO の仕組みづくりや、業務の効率化にも取り組んでいる。