同じ地域で、同じような仕事をしている会社なのに、AI に聞くと名前が出る会社と出ない会社があります。広告費の差でも、会社の規模の差でもないことがよくあります。
では、何が違うのか。この記事では、Google の指針や、研究・調査で分かってきたことをもとに、AI に引用される会社に共通する4つの点を紹介します。最後に、今日からできることもまとめました。
自社が今 AI にどう紹介されているかは、5分で確かめる方法で調べられます。先に確かめてから読むと、自社に足りないところが見えやすくなります。
AI は「答えの裏付け」になるページを選んでいる
AI は答えをつくるとき、参考にしたページを出典として示すことがあります。Google の AI による概要でも、答えを裏付けるページへのリンクが表示されます(Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」)。
AI に引用されるとは、この「裏付け」に選ばれることです。お客さんの質問に対して、はっきりした答えが書かれているページほど、裏付けとして使いやすくなります。逆に、どの会社にも当てはまることしか書かれていないページは、わざわざ引用する理由がありません。
自分たちしか持っていない情報がある
Google は、良いコンテンツかどうかを見分ける質問の一つとして、「独自の情報、報告、研究、分析を提供しているか」を挙げています(Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」)。
中小の会社にとっての「独自の情報」とは、特別な研究ではありません。毎日の仕事の中にあるものです。
- これまでに手がけた件数や、実際の事例
- 料金の目安と、その内訳
- お客さんからよく受ける相談と、そのときの答え
- 地域ならではの事情(気候、交通、学校の行事など)
どれも、その会社にしか書けない情報です。AI がほかのページから同じ内容を拾えない以上、その会社のページを参考にするしかありません。
数字・出典・具体的な言葉がある
プリンストン大学などの研究チームが、AI の答えの中でどんな書き方のページが目立って取り上げられるかを実験しました(GEO: Generative Engine Optimization、2024年に国際会議 KDD で発表)。その結果、統計の数字を加える、専門家の言葉を引用する、出典を示す、といった書き換えで、AI の答えの中での取り上げられ方が大きく増えました。一方、キーワードを詰め込む書き方は、ほとんど効果がありませんでした。
この実験には、小さな会社にとって心強い結果もあります。検索結果で5番目だったページでは、出典を示す書き換えで、取り上げられ方が115%増えました。検索の順位が低いページほど、書き方で差がつきやすいということです。
ただし、これは研究用の環境での結果で、ChatGPT などで同じ結果になると約束されたものではありません。それでも、方向ははっきりしています。たとえば、次のような違いです。
| 引用されにくい書き方 | 引用されやすい書き方 |
| 豊富な実績があります | 2010年の開業から、のべ1,200件の外壁塗装を手がけてきました |
| お手頃な料金です | 30坪の戸建てで、80万〜110万円が目安です(足場代を含む) |
| 地域密着で対応します | 川崎市と横浜市北部なら、ご相談の翌日までに伺います |
差3:お客さんの質問に、そのまま答えている
お客さんは AI に、話しかけるように質問します。「外壁塗装は何年ごとにすればいい?」「見積もりだけでもお願いできる?」といった聞き方です。
こうした質問と答えが、そのままの形でページに書かれていると、AI は答えの裏付けとして使いやすくなります。料金・期間・対応地域・支払い方法など、お客さんが比べるときに知りたいことは、ぼかさずに書くのがポイントです。「料金はお問い合わせください」だけでは、AI は御社の料金を答えようがありません。
差4:サイトの外でも、名前が語られている
SEO のツールを提供する Ahrefs が、7万5,000のブランドを調べたところ、Google の AI による概要に名前が出る回数と最も強く関係していたのは、ほかのサイトで名前が言及されている量でした(Ahrefs の調査、2025年5月)。被リンクの数との関係は、それよりずっと弱いものでした。
Ahrefs 自身も注意しているとおり、これは「関係がある」ことを示したもので、言及を増やせば必ず名前が出るという意味ではありません。ただ、AI が自社のサイトの外の情報も見ていることは、この調査からもうかがえます。
中小の会社なら、地域の新聞や情報誌、商工会や業界団体のサイト、取引先の事例紹介、ポータルサイト、口コミなどが「サイトの外で名前が語られる場」です。こうした場所で、正しい社名と内容で紹介されていることが大切です。
引用されにくいページの特徴
反対に、次のようなページは、内容が良くても AI に使われにくくなります。
- どの会社にも当てはまる言葉(「丁寧」「安心」「豊富な実績」)だけで、具体的な中身がない
- 料金や対応地域が書かれておらず、「お問い合わせください」だけになっている
- 大事な情報が画像の中にだけ書かれていて、文字になっていない
- 情報が古く、今の料金やサービスと合っていない
- AI のクローラーを、robots.txt やサーバーの設定で止めている(前回の記事で、このサイトでの実例を紹介しています)
今日からできる3つのこと
1. 自社だけが持っている数字を、3つ書き出す
開業年、これまでの件数、対応している地域、料金の目安、お客さんの数など。書き出したら、トップページやサービスのページに文章で載せます。
2. よく聞かれる質問を5つ、答えと一緒に載せる
電話やメールで実際に受けた質問をそのまま使うのがいちばんです。答えは、最初の一文で結論を書きます。
3. サイトの外の情報を見直す
Google ビジネスプロフィールやポータルサイト、加盟している団体のサイトなどに載っている自社の情報が、正しく新しいかを確かめます。古ければ直し、載っていない場所があれば登録を検討します。
どれも、特別な技術がなくても始められることです。AI 向けの特別な仕組みを作る前に、まずここから取りかかるのがおすすめです。SEO との関係はSEO と LLMO の違いで、LLMO の全体像はシリーズの1本目の記事でお話ししています。
自社の状況を無料で診断します
「自社にしかない情報が、きちんと伝わっているか分からない」「サイトの外の情報がどうなっているか確かめたい」という方のために、ESTUDIO COIPO では LLMO の無料診断を行っています。主な AI で、お客さんがしそうな質問をしたときに御社がどう紹介されるかを調べ、サイトの状態とあわせて、優先して直すことをお伝えします。
くわしくはLLMO 支援のページをご覧ください。
著者プロフィール
齊藤新(さいとう・あらた)/ESTUDIO COIPO 代表
Web 業界で 25 年以上、企画・ディレクション・デザイン・SEO・MA ツールの導入支援・ブランド戦略までを一貫して手がける。AI を活用した SEO の仕組みづくりや、業務の効率化にも取り組んでいる。